Project ANIMA総合プロデューサーの上町裕介(かみまちゆうすけ)です
先日開催された渋谷での第一回持ち込み会、そして代アニ福岡での持ち込み会には多くの作家様にご参加いただきまして誠にありがとうございました。
お持込いただいた作品のクオリティも非常に高く、そんな着眼点があったのか!と驚かされるばかりでございます。
さて、そんな持ち込み会ですが、今後作品をブラッシュアップしていくにあたっての課題も見えてまいりましたのでここでお話できればと思います。
Project ANIMA持ち込み会を通して見えてきた課題
という事でここでは大きく2つの課題と対策をご説明したいと思います
その①作品全体のルール(大目的)を明確化しよう
「世界観」「人物設定」は非常に良く作られていて、着眼点も実に面白いけれど作品全体を見た時に「主人公が最終的に何をする物語」なのかが明確化されていない、もしくは受け手に分かりやすくなっていないというのが課題としては多い印象です。自分が生み出した愛するキャラクターの魅力を他の人にも伝える為には、前提としての作品全体のルールを最短で理解させる必要性があります。例を挙げると以下の様な感じ。
例①:「皇歴2010年8月10日。神聖ブリタニア帝国は、日本に宣戦布告した。極東で中立をうたう島国と、世界唯一の超大国ブリタニア。両者の間には、日本の地下資源を巡る、根深い外交上の対立があった…(略)」
→コードギアス冒頭のナレーションです。そうか!良くわからないけどブリタニアを倒すのが目的なんだな→え?何これ?ルルーシュかっこよくない?というわけです。
例②:「ユーリ!!! on ICE」第一話Aパートでのちびキャラで登場したか勝生勇利による「グランプリシリーズと自分が現在おかれている状況の説明」
→なるほどこの主人公がスランプを脱してグランプリシリーズを勝ち抜いていく話なんだな!→え?何これ?ヴィクトル・ニキフォロフかっこいよ過ぎじゃない?というわけです。
すいません…ちょっと思考に若干の偏りがありますが、キャラクターを気に入ってもらう為には作品全体のルール理解(ゲームで言うとチュートリアル)をなるべく分かりやすく明確化してあげる事が大切です。その為には前提としてルール(大目的)自体を設定してあげる事が非常に重要です。群像劇としては書けるんだけど途中で行き詰まってしまうという人は今一度作品全体の「ルール」を見返してみてください!
その②好きな要素こそ整合性や必然性を疑ってみよう
今回、色んなところで「“好き”を形にして行きましょう!」というメッセージをお伝えさせていただいておりますが、それを更に作品の魅力として高めていく為に是非やっていただきたい内容です。例を挙げると以下の様な感じ。
例:俺はとにかくメイド服が大好き!ヒロインはメイド服を着ためっちゃ可愛い女の子以外に考えられない!
Q.ヒロインがメイド服である必然性は?
A.戦闘型アンドロイドであるが、その素性を隠すために主人公のメイドという設定である。また、情報収集の為に政府高官や重要人物の屋敷に潜入することが作品の中で多く登場する為、様々なデザインのメイド服を着る必要性がある。メイド服といっても強化素材で作られており、防刃・防弾で更にメイド服の形状を活かす形で様々な武器を仕込むことが出来るのだ。そして戦闘時にはメイド服は瞬時に形状を変化させサイバー風の戦闘服へと変化するので、シリアスな作品でも絵的に阻害することはないのだ!
Q.めっちゃ可愛いの定義は?
A.学習型AIが搭載されたアンドロイドである為、主人公の好みや行動によって、最も好ましい性格に最適化されていく。主人公は、割と受け身で無口且つ非常に知性もある人物な為、積極的に歩み寄っていく事が必要があり、更には会話劇としてのメリハリをつけるためにコメディ要素(ボケ)が必要であると考える。とにかく明るく、活発で、適度にボケ感もあるのが本作のヒロインに於ける最適な可愛さである!
→それを踏まえると「メイド服をベースにした極めて戦闘力の高いバトルスーツ」を着た「とにかく明るくボケれる愛想の良い可愛いアンドロイド」がヒロインの作品となる
すいません、これまたちょっと偏りのある例を出してしまいました。作品に対して自分が「好きな要素」っていくつかあるはずですよね。その「好き」についての整合性や必然性を自問自答して、それを解決できた瞬間にその「好き」は作品にとっての強い武器になっていくと思います。逆に解決できないと作品の中でその要素だけ浮いてしまっている…なんて事も起こりがちです。是非一度、やってみてください!
という事でいかがだったでしょうか?少しでも作品作りの参考になれば幸いでございます。
さて、最後に持ち込み会で僕が使用させていただいているチェックリストを公開させていただきます。このリストをベースに作品についてご質問しながら、作品のブラッシュアップを一緒にさせていただいております。是非、ご自身の作品について整理したい時にご活用いただければと思います!